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コタ&こたplusサチイブ お気楽DAYS

コタ&こたplusサチイブ お気楽DAYS

Episode51~LastEpsode

 


◆◇◆Episode51:再会◆◇◆



最後の光の門を抜けると、そこは、ブリッツスタジアムだった。
ルカのではなく、ティーダのいたザナルカンドの、
しかも、シンに襲われた後のくずれたスタジアム。


そして、ティーダアーロンが進み出る。


そこで待っていたのは・・・



「おせぇぞ、アーロン


「すまん・・・」


ジェクトの文句に素直に謝るアーロン

そして、ジェクトティーダの方を見る。


「よぉ・・・」


ティーダも返す。


「あぁ・・・」




「なんでぇ!背ばっか伸びやがってヒョロヒョロじゃねぇか。
ちゃんとメシ食ってんのか、あぁ!?」


いつもの口調でジェクトは話す。
スピラに来るまでは嫌いで嫌いでしかたなかったその言い方。
その態度。
しかし、今のティーダにとっては・・・


ジェクトは今度は静かに・・・そしてやさしく言う。


「でかくなったな・・・」


その目は満足感と優しさに満ちていた。


「まだ、アンタのほうがデカい。」


うつむいたまま答えるティーダ



「はっはっはっ なんつってもオレは『シン』だからなぁ。」


「笑えないっつーの・・・」


こんなときでもジェクトはやはりジェクトだった。
だが、彼らにはしなくてはならないことがある。
ジェクトが言う。


「じゃぁ・・・まぁ・・・なんだ、その・・・ケリ、つけるか。」



聞きたくなかったその言葉。
できれば避けたかったその言葉。

ティーダジェクトに言えたのは一言だけ。


「バカ」


だが、ジェクトは笑って答える。


「はははっ、・・・・それでいいさ。」




後ろではユウナたちが二人を静かに見守っている。

ジェクトは息子を見つめて言った。


「どうすりゃいいか、わかってるな?」


声を絞り出すティーダ


「あぁ」


「もう祈りの歌もあんまし聞こえねぇんだ。
もうちっとでオレは心の底からシンになっちまう。
間に合って助かったぜぇ。

んでよ、(戦いが)始まっちまったら、
オレは壊れちまう。
手加減とかできねぇからよ・・・
すまねえな。」


ジェクトの心が残っていたからこそ、
シンザナルカンドティーダを迎えに行き、
ミヘンセッションでティーダを見つめ、
エボン=ドームでたたずんでいたのだ。


徐々にシンに心を侵されるのに必死で対抗しながらも、
スピラの人々を襲うことを止められず、苦しんで・・・苦しんで・・・



ティーダは顔を上げて叫んだ。


「もういいって!うだうだ言ってないでさぁ!」


その頬は涙に濡れ、その声は大きくも震えていた。



「・・・だな」


微笑みながらそういって背を向け、
スタジアムの中心部へと歩き出すジェクト


「じゃぁ、いっちょやるか!」


そう言ってジェクトは半分向こうが壊れて巨大な穴が口を
開けているスタジアムの床を蹴り、
不気味に光る穴へを身を投げた。

その瞬間、ティーダは走っていた。
ジェクトの手を、父の手を取ろうと、
必死で追いかけた。
かっこ悪くたっていい。
父親にしがみつきたかった。
父親を救ってやりたかった。


だが、ジェクトは光りの中へ落ちていく。
そして・・・
強い振動に襲われるスタジアム。
ジェクトの落ちた穴は光りを増し、
ティーダたちのまえに巨大な手が現われる。
そして、手の主が全貌を現した。









◆◇◆Episode52:ブラスカの究極召喚獣◆◇◆



かつてジェクトだった面影を残した巨大な獣、

そう、ブラスカシンを倒したときの究極召喚獣だ。
ジェクトブラスカシンを倒させるために、
ユウナレスカの手でこの姿になったのだ。

そして、シンを倒した後にエボン=ジュに乗り移られ、
新たなシンとなった。



「すぐに終わらせてやる!
さっさとやられろよ!」


たとえ父であっても、自分は成し遂げなくてはならない。
ティーダの気迫に召喚獣のジェクトは攻撃することを戸惑う。
ジェクトティーダという父子の深い結びつき、
それがティーダたちを勝利に導いた。


ジェクトの中から、赤と黒の不思議な球状のものが飛び出した。

これが・・・エボン=ジュ!?




そして、ジェクトは元の姿へと戻った。
力尽き、倒れこむジェクトをティーダは走り寄って支えた。
目の前の息子の顔を見て、ジェクトは言った。


「泣くぞ、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ、ほら泣くぞ・・・」


それは幼かったティーダに愛情表現が下手だったジェクトがかつて言った言葉だ。
そして、幼かったころのように、ティーダは答える。


「だいっきらいだ・・・」



「ははは・・・まだ早いぜ。」


ジェクトの言葉に、ティーダは大きく頷く。


「全部終わらせてから・・・だよな。」


それを聞き、ジェクトは弱々しくもニヤっと笑い軽口をたたく。


「わかってるじゃねぇか。さすがジェクト様のガキだ。」


昔のように軽口に乗ることなくティーダは心の底から思うことを言った。
これがきっと最後のチャンスなのだから。


「初めて思った・・・
アンタの息子でよかった。」


「ケッ」


照れ隠しするジェクト




ジェクトさん」


異界送りを舞って、ジェクトを送ろうと近寄るユウナ
だが、ジェクトはそれを制止した。


「ダメだユウナちゃん。時間がねぇ・・・
ユウナちゃん、わかってんな?」


ユウナはまっすぐジェクトを見つめる。


「召喚獣を呼ぶんだぞ。」


       「僕たちを呼ぶんだよ。」


ジェクトと祈り子の少年の声がシンクロした。

その言葉を最後に、ジェクトは消えていった。



「はい・・・」


ユウナは気持ちをこめて答えた。









◆◇◆Episode53:死の螺旋の終焉◆◇◆



飛び出したエボン=ジュが新たな行き場所を求めてさまよっている。


「来るよ!」

ルールーの合図と同時にあたりが光った。


ティーダは叫ぶ。


ユウナ!」


それに答えるように頷くユウナ


祈りの歌の聞こえる中、ユウナは今まで心を通わせた召喚獣を
1つずつ呼び出した。

氷の女王シヴァ、火の聖獣イフリート、雷を操るイクシオン、
そして、ビサイドから一緒だったヴァルファーレ。

次々にエボン=ジュが乗り移るたびに、ティーダたちはその召喚獣を倒す。

倒された召喚獣から飛び出したエボン=ジュは、
次々にユウナに召喚された召喚獣に乗り移る。


そして、最後の召喚獣バハムート。
祈り子の少年が言ったとおり、ユウナは召喚した。
そのバハムートをも倒すティーダたち。


もうユウナが召喚できる召喚獣は居なくなった。





行き場をなくし、エボン=ジュがさまよっている。
これを倒さなくては、死の螺旋は絶ち切れない。
だが、これを倒せば、シンはもう復活しないのだ。



一歩前に出たティーダが一瞬考えて
大声で叫んだ。



「みんな!
一緒に戦えるのはこれが最後だ。
よろしくっ!」


「へっ?」


ワッカたちは拍子抜けしたような声をだす。



「なんつったらいいかな・・・
エボン=ジュを倒したら、
オレ・・・消えっから!」


突然のティーダの告白に、リュックたちは動揺する。



「あんた、何言ってんのよ!?」


ルールーも驚きを隠せない。


ティーダユウナを見つめて・・・


「さよならってこと!」



誰も「なぜ」かを訊かなかった。
どこかでティーダの存在がスピラのものではないことを
わかっていたのだろうか。
だが、ユウナだけは、祈り子の少年の言ったことを
思い出す。



「勝手で悪いけどさ!
これがオレの物語だ!」


そう言ってティーダはエボン=ジュに斬りかかっていった。



シンという鎧を失ったエボン=ジュにティーダたちは全力で立ち向かう。

1000年もの間、スピラを苦しめる存在シンを作り出していたエボン=ジュ。

滅びた故郷ザナルカンドを夢見て召喚し続けたエボン=ジュ。

エボン=ジュはその力をそがれ、
上空へ上ったかと思うと、突如光りを発して消滅した。









◆◇◆Episode54:導く者の旅立ち◆◇◆



ビサイド島では、ビサイド・オーラカの面々、
ルッツ、そして、討伐隊のルチルたち、
メイチェン老人、オオアカ屋と弟のワンツなどが集まり、
上空で起こっていることを見守っていた。


そして、エボン=ジュが倒された瞬間、
村人は手を取り合って喜び、
ルッツは空へ向かって敬礼した。



スピラ中が今、永遠のナギ節を手に入れたのだ!


祈り子像の眠る各寺院では、祈り子像が力を失い、
ただの像となっていく。

ベベルの祈り子の部屋も同じだ。
祈り子の少年はやっと眠りを手に入れ、消えていった。






エボン=ジュの消えた後、その場でユウナは召喚獣たちのために
異界送りの舞を舞っていた。
エボン=ジュの消えた空間でひとつずつ消えていく召喚獣の思念。


ティーダたちはそれを見守っている。


ユウナがふと気付くと、アーロンの体から幻光虫が溶け始めていた。
アーロンもまた、逝こうとしているのか。


異界送りをやめるユウナアーロンは言った。


「続けろ。」


ユウナは躊躇する。


「でも・・・」




フッと笑い、アーロンは答える。


「これでいいさ。」


そう言ってアーロンは今まで一緒に戦ってきた
ワッカたちの顔を一人一人見つめ、
自分の遺言通りユウナベベルから連れだし、
見守ってくれたキマリの胸を叩く。



ティーダの前で立ち止まってアーロンは言った。


「10年待たせたからな。」



そして、ユウナの側を通り、スタジアムの中心へ立つアーロン
振り返り、


「もうおまえたちの時代だ。」


そういうと、アーロンはこの世へ留まるための思いを解き放ち、
異界へと旅立った。









◆◇◆Episode55:終わりのとき、そして・・・◆◇◆



ティーダたちは飛空挺へ戻り、シンから脱出する。
ユウナは飛空挺の甲板で舞いつづけ、
シンを異界へと送り出す。
スピラを死の恐怖に陥れたシンはこうして消えていった。



その瞬間、ガガゼト山頂にあった祈り子の群像もまたただの石像と化し、
その多くの思いは異界へと旅立つ。


そして・・・


ティーダの指先が透明度を増していく。


もう・・・時間だ。




ユウナがすがるような目で見つめている。

ティーダユウナを見ると、彼女は黙って首を振る。


「オレ、帰らなくちゃ・・・」


再びユウナは必死で首を振った。


ザナルカンド、案内できなくてゴメンな・・・じゃぁな!」


ティーダは飛空挺の舳先へ向かって歩いていく。

その背に向かいリュックが叫ぶ。


「また会えるんだよね?」


ティーダは答えなかった。


思いを抑えきれないユウナは、ティーダに走ってその胸に飛び込んだ。

だが、ユウナの体はティーダをすりぬけ、
勢いあまってユウナは転んでしまうだけ。


もうユウナを受け止めることもできない。


ティーダもいつしか泣いていた。




ルールーワッカキマリは何も言わずただ見つめていた。
ユウナにとって、自分たちにとって大切な存在となったティーダを。


ユウナはよろけながらも立ち上がり、声を振り絞る。


「ありがとう。」


ティーダは振り向く。
そして、後ろからユウナをそっと抱きしめた。
もう触れることもできないはずなのに、
ユウナティーダはお互いを感じ合う。


そしてそのままティーダユウナをすりぬけ、
飛空挺から飛び降り・・・





その姿は消えた。





ありがとう・・・


ユウナは心の中で何度も何度もつぶやいた。










◆◇◆Last Episode:◆◇◆



ルカの港で、ユウナは一人で指笛を吹いていた。
前に来たときはまだ上手く吹けなかった指笛。
それを教えてくれた人はもういない。

でも、ユウナは指笛を吹き続ける。


こうしていれば、『彼』はいつか来てくれるんじゃないか・・・
そう信じて・・・




ルールーが迎えに来た。


ユウナ、そろそろ・・・」


そして、ユウナは超満員のスタジアムに立つ。


永遠のナギ節を与えてくれた大召喚士の登場に、
スピラ中から集まってきた人々は歓喜の声を上げる。
その声援はなりやまない。
ユウナの後ろには、キマリワッカルールー
そして、リュックが立ち、
その様子を驚いた顔で見ている。
そこには、彼らと共にシンと闘ったはずの二人の仲間の姿はない。




「多くの数え切れない犠牲がありました。」



自分の声さえ聞こえなくなりそうな声援の中、
マイクを通してユウナは話し始めた。
その声に、人々は聞き入るかのように静まった。


「何を失くしたかもわからないくらい、
たくさん失くしました。
その代わり、もう、シンはいません。
もう復活もしません。」

再度盛りあがるスタジアム。



「これからは・・・」


ユウナは胸を張って話しつづけた。


「これからは私たちの時代だよね。
不安なこといっぱいあるけど、時間もいっぱいあるから・・・
だから、大丈夫だよね。
力を合わせて一緒に歩けるよね。」


スタジアム中を見つめて、ユウナは静かに言う。


「ひとつだけ お願いがあります。
居なくなってしまった人たちのこと、時々でいいから
思い出してください。」



後ろではワッカたちも頷いている。


永遠のナギ節。


ユウナたちがもたらした
新しいスピラの時代の始まりである。





「キミに会えて よかった」





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